SUZURIの中の話

第1話
狂ったもの好きな中の人たち
第2話
SUZURIの中身を語り尽くそう
第3話
さて、これからどうする?

SUZURIの中の話

第1話  狂ったもの好きな中の人たち
第2話  SUZURIの中身を語り尽くそう
第3話  さて、これからどうする?

今回の登場人物

栗林 健太郎(あんちぽくん)
GMOペパボの技術責任者。人間たちからはあんちぽくんと呼ばれている。

久保田 竜自(くぼりゅー)
EC事業部カラーミーショップグループ。SUZURIの画像合成部分やUIなどフロントエンド周りを担当。

喜多 啓介(きたけー)
EC事業部 カラーミーショップグループ。アプリケーションロジックや運用に関わる部分を担当。

この前読んだ仏教の本によると…

あんちぽくん
SUZURIの中の人として活躍してきたおふたりに、今後の課題とか、エンジニアとしての目標とかあれば教えていただきたいんですけど。
きたけーさんは新卒入社から1年2ヶ月経ったばかりですよね。SUZURI作り始めたのっていつぐらいですか?
きたけー
去年の11月ぐらいですね。
あんちぽくん
11月っていうと研修が終わってすぐぐらいのタイミングですよね、それはすごい。今後の課題は?…って言っても、まだペーペーですもんね。何かありますか?
きたけー
はい、ペーペーです(笑)。SUZURIに関しては、立ちあがったばかりのサービスなので運用方法を模索している状態なんですけど、属人性をなくして効率的に少ない人数で回していけるサービスにしたいなと思っています。
あんちぽくん
今後サービスを大きくしていく中でパフォーマンスが劣化しないしくみを導入したり、運用を効率化したり、状況や体制が変わっても回せるようにする、というのがSUZURIの課題ということですね。さきほどのGemにして一般化したいという話もその取り組みの一環でしょうか。
それではきたけーさん個人の今後の課題はなんですか?新卒で入社したてで新サービスをバーンと立ちあげて、SUZURIもうまくいきつつあるわけですから、それだけですごいことではあると思うんですけど、それに満足せずにやっていこうというきたけー先生のお話をうかがいたいんですけども。
きたけー
先生って…やめてください(笑)。
こんなこと言うとあんちぽさんに怒られるかもしれないんですけど…エンジニアとしてホニャララというこだわりが僕にはあまりなくて、サービスに真摯に向き合って関わっていくっていうのが楽しいなって実感しているところです。
この前読んだ仏教の本にあったんですけど…
あんちぽくん
あ、質問するとなんでも仏教の話に置き換えちゃって「そういう話を訊いてるんじゃないんだけど…」って相手をドン引きさせることで社内でにわかに有名なきたけーさんのやつ、出ましたね。
きたけー
今この瞬間もドン引きさせちゃってるかもしれないんですけど…仏教の本によると、「人生っていうのは一瞬一瞬を大切にするゲームみたいなもんだ」っていうことが書かれていて。
あんちぽくん
ゲームなんですか!?えらく軽いですね。
きたけー
そうなんです、軽いんですよ。ゲームなんですよね。ここであえてゲームっていう軽い言葉を使うことによって妙な執着を捨て去るっていうか…すみません変な話をしちゃって…そんなに嫌そうな顔しないでくださいよ(笑)
あんちぽくん
嫌そうな顔っていうか、この話をどう広げようか困ってる…。
サービス開発や運営はもちろん、ある程度技術力も必要なわけで、きたけーさんが技術的な研鑽を重ねているのは僕も見てきてますけど、かといって技術面だけに執着するのではなく、サービスを良くするために自分の技術を活かしていきたいってことですかね。ユーザーに楽しんでもらうために技術を磨いていこうっていう。
俺はこの技術さえ極めればいいんだ、楽しければいいんだ、ということではなくて、お客さん目線でやっていければなっていうのが前提の話なんですね。
きたけー
入社直後は、どちらかというとあんちぽさんがおっしゃられた「この技術を!」っていうマインドだったような気がします。ただ、色々なサービスにOJT(※1)で関わったりSUZURIに携わる中で、マインドが少しずつ変わってきたのかなっていう気はしますね。
あんちぽくん
エンジニアが高い技術力を維持していくっていうのは、当然あるべき態度ですよね。きたけーさんの中では、技術を研鑽していくっていうは大前提。その上で、お客さんに提供するものがどのレベルになるかっていうのが重要だなっていうふうに考えが変わってきたっていうことですかね、2年目にして。もう仏教の本も読んで悟りを開く勢いですね。
きたけー
悟りはなかなか開けないです(笑)。

(※1)OJT ペパボの新卒社員は職種を問わず、3カ月間の新卒研修を受ける。その後、エンジニア・デザイナーはOJT研修に入り、複数のサービスで開発や運営の生の現場を経験することができる。OJT後に本配属先が決定する。

書き捨てですごいものを作れる能力をもっと伸ばしたい

あんちぽくん
くぼりゅーさんはどうですか?会社に入られてどれぐらいでしたっけ?おいくつでしたっけ?
くぼりゅー
入社3年目で27歳です。
ものすごくきれいなアーキテクチャを作って、ちゃんとライブラリを切り出して、それをきちんと更新していくっていうのがウェブの文化で、それが上手い人がめちゃくちゃ多い業界ですよね。うちの会社もインフラ寄りに強い人の層が厚いんです。
逆にゲーム業界は、本とか読んでるとコードはめっちゃ汚いんですけど、動いてるものはスゴイ。僕はそっちに行きたいんですよね。
オープンにするために整理することを評価されたり整理する仕事をするんじゃなくて、コードを共通化する能力が高いわけじゃなくても、書き捨てですごいものを作れる能力をもっと伸ばしたいなって。オープン文化とクローズド文化で違うんですよ、同じプログラマでも。
ドワンゴの川上会長はPC文化とUNIX文化という言葉でそれを表していらっしゃったんですけど、そのとおりだなと。
あんちぽくん
そこって、やることが違うからかな。ウェブの場合って、作って終わりじゃないから、コミュニケーションコストがかかる。だから誰でもわかるように整理しましょうっていう流れが強いんだと思うんですよ。
一方でゲームとか、今回くぼりゅーさんがやってた画像加工技術とか、純粋に技術的コストのほうが高い分野だと、技術的なコストをできるだけ下げてアウトプットを出しましょうっていうことになるから、一見なんだこのコードっていう感じなんだけど、アウトプットはすごいっていうのを尊重するところがあるのかなって思いますね。整理なんかいいからアウトプットしましょうって。
くぼりゅー
確かにそうですね。Railsアプリのコードで、すげー動くけどすげー汚いコードを書き捨てたりしてると殺されると思いますね。
あんちぽくん
Railsアプリのコードは、引き継いでいって増やしていくっていうのがあるからなんでしょうね。
くぼりゅー
ウェブも変わってきていて、クライアントがスマートフォンアプリになったり、ブラウザもどんどん動きがついてきたりしてるから、ウェブ業界のエンジニアにもそういう力は必要かなと。
昔、ゲーム会社でバイトしてたんですけど、敵の爆死のしかたがプログラマによって違うらしいんです。全部違う爆死の仕方をさせるプログラマがいたらしいんですね。そういうのってめっちゃかっこいいなって思います。
あんちぽくん
別に爆発なんか1種類でいいのに、爆死の仕方を全部かえちゃう…っていうのは、さっきのTシャツの影の表現にこだわるくぼりゅーさんの姿に通じるものがあるのかもしれませんね。くぼりゅーさん的にはウェブでも技術を注ぎ込んでアウトプットの表現を一歩超えていきたいってところなんですかね。
くぼりゅー
そうですね。でも、現状はlensもリファクタしきれなくなってきているところがあるから、整理しようっていうきたけーさんみたいな人がいないとやっぱりダメかな(笑)。
あんちぽくん
くぼりゅーさんはそうは言っていても綺麗にコードを書く人だから、ひとつの関数が1000行でもいいやってタイプではないですよね。でも、志向としてはかっこいいアウトプットのために技術を使いたいってところなのかな。
くぼりゅー
現実問題として、ライブラリをみんなが使える状態にして、テストも書いて、GitHubにあげて、readmeも書くみたいなことを家に帰ってやってると、全然時間ないんですよ。そんな暇あったら少しでもコード書く時間に充てられればって。
C++でゲームのフレームワークを自作しようとして、1年半ぐらいで形になったんですけど、この上でゲーム書いたらあと2年かかるなって思って(笑)。
あんちぽくん
2人とも技術力が非常に高くてすばらしいんですけど、対称的な面がありますよね。
くぼりゅーさんは端的に言うと技術を突きつめるハッカータイプ。きたけーは技術力も高いんだけども、先のことをみて整理しておきましょうとか、全体を見ていたりとか、アーカイブ化もしておきたいな、っていうタイプで、2人の組み合わせとしては良かったのかなって感じがしますね。
くぼりゅー
きたけーはものすごく若くて、ウェブから入ってるので、これから先、どういうエンジニアになっていくのかは色んな可能性があるなって思いますよ。僕がきたけーぐらいの時は全然ここまでできてなかったですもん。
あんちぽくん
きたけーは若干、優等生すぎるかなっていう感じもしますよね。

やりたいって言ったら「じゃあやればいいじゃん」って話になる

あんちぽくん
きたけーさんは社会人になってまだ2年目ですけど、たとえば同年代のお友達には僕らみたいな会社に進んだ人もいるでしょうし、高専出身で大企業に行って色んな経験を積んでる人もいるでしょう。
その中できたけーさんは、入社1年目から新しいサービスの開発に携わって、実際サービスを出してお客さんに喜んでもらっている、というところでは面白い働き方ができてるなっていう実感があるのかなと思うんですけど、同年代と比べてどうですか?
きたけー
良し悪しなんですけど、僕の友達は大手の電機メーカーで働いていて、所属しているチームが50人ぐらいいるらしいんですよ。上から仕事が降ってきて、それを淡々とこなすけど、できあがったものに自分が触れる機会がないそうで。
でも大企業のエンジニアは、何十億の予算でシステムを作ります!っていうような大型案件に関われる。そういう道でのやりがいもきっとあるでしょうし、僕たちは自社サービスだから、全然違います。
ペパボはどんなサービスも開発チームが10人を超えるサービスはなかなかないですから、やれることはどれだけだってあるし、やりたいって言ったら「じゃあやればいいじゃん」って話になるので、自主的に仕事を掴んでいけるっていうのはやりがいなのかなって気がしますね。
自社サービスやりたいよっていう人にとっては、こんな働き方もいいんじゃないかなって。
あんちぽくん
一方で、27歳という年齢で、社会人になって数年の経験を積んできた中で、くぼりゅーさんはどういう風に考えていますか。
くぼりゅー
周りの人たちは本当にすごくて、自分はカスだなって思うんですけど…。同じぐらいの歳の人で自作ゲームを作ってる人とか、すごい人がたくさんいて全然及ばないなって。ちょっとずつやっていくしかないですね。
きたけー
新卒で入社したときに、「ペパボのことがわかる教科書」みたいな冊子をもらったんですよ。そこにくぼりゅーさんのインタビューが載ってて、なんでしたっけ「週末はコード書く」みたいな人いるじゃないですか趣味で。くぼりゅーさんはそれを「週末思想」って呼んでいて、そうじゃなくて1日にちょっとずつでもいいからコードに触れる時間をとるのがいいんだっておっしゃってましたよね。
くぼりゅー
いっこく堂理論です。いっこく堂は、とにかく腹話術の練習を毎日することが重要だってことをおっしゃられてて、高熱が出てる時でも1分でもいいから毎日練習することが大切らしいんです。
あんちぽくん
くぼりゅーさんも実際やってるんですか?
くぼりゅー
僕はやってないです。いっこく堂がやってるそうです。
一同
きたけー
くぼりゅーさんは、さっきあんちぽさんがおっしゃったようにハッカーっぽい部分があるんですけど、ストイックというか、くぼりゅーさんの姿を見てると僕はまだまだだなって感じますね。

ぶっこわさない人よりはぶっこわす人のほうがいい

あんちぽくん
僕らが展開するサービスをもっとお客さんに使ってもらうためには、もっと仲間を増やしていく必要があると思うんですけど、こういう人と仕事がしたいなっていう人物像ってありますか。
きたけー
いい意味でも悪い意味でもぶっこわすような人がいいんですかね。
くぼりゅー
ぶっこわさない人よりはぶっこわす人のほうがいいかな。
あんちぽくん
ぶっこわす人って具体的にどういう?
きたけー
人間が何十人も集まると、何かしら空気みたいなものが生まれると思うんですけど、そういったものを気にせずに良い方向に提案したりとか、動ける人ですよね。 この前くぼりゅーさんが、沈みかかった船の話をされてて、その話すごくいいなって思いました。
あんちぽくん
沈みかかった船か…その話はまあいいや。
きたけー
訊いてもらえないんだ(笑)
あんちぽくん
こわす人って言っても、実力がないとそういうことできないと思うんですけど、高い実力に裏付けられていないと、単にボコボコ壊されても困るわけですよね。 2人のイメージに共通するのは、自分の技術的な基盤とか信念とかがありながら、場のルールを変えていけるような提案とか、実装ができるような人っていうことなんですかね。
くぼりゅー
これやってて本当に効果あるのか?って先が見えない時があるんですよね。このグラフの数値が上がってことがいいことなのか悪いことなのか、何かしら考えがないと判定できないから、それがすごく難しいなと思いますね。確固たる信念っていうのがやっぱり必要なのかなって。
あんちぽくん
今日はお2人とも、どうもありがとうございました。
GMOペパボ期待の新サービス、SUZURIの開発者インタビューをお送りしました。技術・チーム・エンジニアたちのモチベーションがうまく相乗効果を発揮して、いいサービスになったんじゃないかと思います。
それでは、次回またお会いしましょう!


〜おわり〜